着物を、どこまでもリサイクル

  • 2019.11.02 Saturday
  • 18:26

こんにちは、アトリエユリウスです。

私は短大と専門学校で服飾技術を学んだ後、現在の洋服やドレスをお仕立てする仕事に就いているわけですが、家政科被服コースに通った短大では洋裁と並行して和裁の基礎も学びました。

身内に和裁師や茶道の師範がいるのと、育った地域の土地柄なのか、着物は比較的身近な存在ではありましたが、和裁を学んだことでより親近感が増した気がします。

以来、本業は洋服関係なのですが、コンスタントに着物着ますし、自分で着る着物も何枚か縫ったり、和装小物も細々とですが作っております。


そしてずっと思ってたのが、洋裁と和裁の境界はどこだろう?ということ。

普段は、特に境界線を意識することもなく、それぞれの良さを楽しんでいるのですけれども。

ですが最近、ちょっとしたきっかけでまた考えてみました、小物も含めて和裁と洋裁の境界線。

気づいたのは、小物を含めた和裁関連は「裁ち」が基本的に全て直線で、洋裁の時の裁断のようにいろんな形の裁ち落としが出ないということです。

いわゆる「着物」と呼ばれる長着、長襦袢、羽織、帯等々、反物を裁断するときは基本的に 地の目に直角、つまり横地の目にしか鋏を入れません。

体格やデザインによってあちこち余る部分が出てきますが、余った部分を裁ち落としたりすることはなく、縫込みと呼んで他の部分、例えば衿の内側に入れて縫ってしまったり、裏でヒラヒラしてしまうことのないよう、目立たない針目で縫い留めておきます。

着物はほどくと、一枚の布に戻ると言われる所以でもあります。

では着物以外の和小物はどうか?と目を向けるとこれまたやはり直線裁ちです。

広げると一枚の正方形もしくは長方形の風呂敷、これは説明するまでもないですね。

ではあずま袋という袋物をご存知でしょうか。 手に下げると三角になる袋です。これも、長方形の布を畳んであちこち縫い合わせ後、この三角になっているのでこれも裁ち落としが出ません。

 

茶道関係の方に愛用者の多い数寄屋袋という、いわゆる和風ポーチがあります。

実はこれも、基本的に反物の幅と同じ長さに切った1枚の生地を縫い合わせて、フタ(被せ)や取り出し口の付いたポーチに仕立てます。しつこいようですが、これも横に一本、鋏をいれるだけなので裁ち落としが出ません。

他にも、お手玉。お手玉の形は、いろいろありますがどれも長方形の布を縫い合わせて口を縫い絞ったり、縫い位置を工夫して立体に仕立てます。 写真のお手玉も、過去に私が作ったものですが、これも長方形の布を4枚縫い合わせて作ってあります。



同じく和系小物につまみ細工があります。この技法で作られたかんざしなどは、舞妓さんも愛用されてるほど着物にはなじみの深いアクセサリです。
この、つまみ細工も、一つ一つのパーツ、例えば花びら一つは、正方形に切った布を畳んで、角をちょっと留めたりひっくり返したりして形作った後、まとめて土台に糊で貼って、花や鶴を表現しているという。。。

つまみ細工をするときに切り出す正方形は2〜3センチ角に切ることが殆どですが、中には1センチ以下の正方形に切り出して、作られる作家さんもいます。

長着(いわゆる着物)を、まず初めは普通に着物として着て、汚れたり擦り切れたら羽織や帯など、用尺の少ないものに仕立て替える。それもまた汚れたり擦り切れて使える範囲が狭くなってきたら、今度は風呂敷やあずま袋等々の小物に作り替えていって、てのひらに乗るくらいの端切れサイズになっても、まだつまみ細工の素材として使おうと思えば使える。。。 一枚の着物も、その気になればここまでリサイクルできるんですよね。 木綿の浴衣の最期は赤ちゃんのおむつに、というのはよく知られてもいますね。


昨今、サスティナブルやSDGsなどといった言葉がよく聞かれるようになりましたが、着物とそれにまつわる小物たちは、もうずっと前からサスティナブルだったのだな、と改めて思ったことでした。


 

JUGEMテーマ:着物 きもの

 

 

 

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